本001:ピアノの誕生 (西原稔)
そろそろ本の感想でも書いていこうと思います。ついでに、一つの目標として「1000冊読了」を掲げてみます(松岡正剛氏の千夜千冊風に)。もっとも、仮に年間100冊だとしても、10年かかる話なので気の遠くなる思いですが。。。
まずは、ちょうど読了した「ピアノの誕生―楽器の向こうに「近代」が見える」をご紹介。
| ピアノの誕生―楽器の向こうに「近代」が見える (講談社選書メチエ) | |
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今年は、ピアノが誕生してからちょうど300年ということで、ちょうどいい機会です。
ピアノといえば、チェンバロから始まり、ショパンの時代に楽器としての地位を築き上げた、、程度のことしか知らなかったのですが、この本からピアノが時代ヽの産業や生活様式に深くかかわりがあったことを伺い知ることができます。
それは、イギリスやドイツで生まれ育ったピアノが、スタインウェイを筆頭とするアメリカのメーカによって近代化され、更に日本の量産体制が世界のシェアを席巻する歴史や、時代のニーズにそった作風やレッスン・コンサート様式が物語っています。
一つ興味深いのは、この本には「ピアノの詩人」と称され、ピアノに関する作曲家としてはもっとも有名なショパンに関する記述がほとんどないことです。むしろ、ピアノという楽器を発展させたのは、ベートベンやリストのようにピアノを厳しく評価してきた作曲家、あるいはクレメンティやプレイエルといったヴィルトゥオーソでありながらピアノの製造にも乗り出した人たちです。
ちょうどショパンの時代であった19世紀前半は、もっともピアノが発展した時代でした。金属フレームの出現、高速同音連打を可能としたダブルエスケープメントアクションの発明、フェルトハンマーの考案、ピアノ線の大幅な改良、など、今のピアノの原型はほぼその時代に開発されてきました。
例えば、リストの「ラ・カンパネラ」は、ダブルエスケープメントアクションの出現によって演奏効果向上のために改訂が行われた曲であることや、ベートーベンのいくつかのピアノソナタが音域やハンマーの改良に貢献したことが挙げられています。なんでも、ベートーベンは当時のピアノに無い音域のソナタを作曲し、それにあわせてメーカーが努力していたそうです。
それに対して、ショパンがピアノの改良に貢献したということはあまりないようです。ショパンは、他の誰よりもピアノの魅力を引き上げる事だけに専念した作曲家なのかもしれません。残念ながら、ショパンはスタインウェイに出会うことはできませんでしたが、もし長生きしていたら、全く違う作風の素晴らしい曲が産まれていたに違いありません。
最後の章では日本のピアノについても触れられていて、ヤマハとカワイの創始者は元々一緒にピアノを作っていたとか、バイエルはたまたま日本に輸入されてきたピアノと一緒に入っていたから日本で流行ったとか、なるほど~と思う話ばかりでした。
本を読んだついでに、年表にまとめてみました。右に進むと様々な改良の歴史を辿ることができ、各イベントをクリックすると詳細を見ることができます。また、19世紀後半から日本のピアノの歴史が始まります。
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